逃げた馬
まず「逃げ馬」のデータの検証に入る前に、出走全馬を見ておきましょう。新しく何らかのデータを調べる場合は、この全馬データをベースに考えるという視点はとても大切です。
@出走全馬のオッズ別一覧
回収率が理論値よりも低い結果になっていますが、検証する期間によって当然バラつきがありますので、それほど気にする必要はありません。
それでは、実際に「逃げた馬」について検証してみましょう。
競馬ファンであれば、「逃げ馬」の馬券を買えば儲かることを一度は耳にしたことがあると思います。そんな既知の情報のとおり、競馬は「逃げた馬」の馬券を買い続けられれば、実際にプラス収支にできます。
A「逃げた馬」オッズ別一覧
昨今の競馬では、先行策をとった馬の成績が優秀であり、その中でも「逃げた馬」の馬券の成績は特に優秀です。このように「逃げた馬」の馬券を購入できれば、単勝なら元金の2倍、複勝でも1.5倍になることが分かります。
しかし、「逃げ馬」の馬券を購入したからと言って、実際にはそう簡単に馬券で儲かるわけには行きません。「逃げ馬」と見込んだ馬が、必ずしも逃げる訳ではないからです。
本頁のデータは、2014.4.6〜2015.12.27の期間における、芝レース(新潟直線1000M除く)を対象レースとしています。なお、ターゲットフロンティアJVを使用して抽出しています。
逃げそうな馬
「逃げそうな馬」が、いつも逃げていますか?
どのくらい逃げられていますか?
「逃げ馬」は過去のレースから判断して、今回も(は)逃げそうと思われている馬が選ばれていることがほとんどです。
もし僕が、実際に逃げる馬をレース前に8割程度当てることができるのであれば、馬券で勝つことは決して困難ではなくなります。しかし、現実は厳しく、なかなか逃げる馬を言い当てることができません。
ここからは、僕が「逃げそうな馬」と予想した馬の結果データを参考として、検証を進めていきます。
B「逃げそうな馬」オッズ別一覧
C「逃げそうな馬」で実際に「逃げた馬」オッズ別一覧
ここで注目すべきことは「逃げそうな馬」2032頭のうち、641頭しか逃げられていないという事実です。このように「逃げ馬」を見極めようとしても、30%程度しか言い当てられないということ客観的に知っておくことが大事です。
単騎で逃げそうな馬
D単騎で「逃げそうな馬」オッズ別一覧
E単騎で「逃げそうな馬」で実際に「逃げた馬」オッズ別一覧
ここで、Bに示した「逃げそうな馬」の中から、さらに単騎先頭で逃げられそうな馬に絞って抽出してみます。これにより、データサンプルは減少したものの、「逃げ馬」を見極める精度が7%ほど向上させることができました。
Fハイペース単騎で「逃げそうな馬」オッズ別一覧
Gハイペース単騎で「逃げそうな馬」で実際に「逃げた馬」一覧
Dにハイペースという条件を加えることで、さらに精度は3%ほど向上しましたが、この辺りが予測の限界なのでしょうか?
差し追込み馬が逃げた場合
H「差し追込み馬」で実際は「逃げた馬」オッズ別一覧
近走からは差し追込みが予測され、実際には「逃げた馬」のデータをご覧ください。
展開予想の段階で大勢の思惑を裏切っている馬たちなので、やはり回収率が良くなりますが、そんな馬を見つけるのは至難の業でしょうから、無理な予想は止めておきましょう。
逃げ馬検証まとめ
競馬はスタートして時間が経つとともに、ほぼ1頭の逃げ馬が決まります。そして、勝ち馬も1頭(同着除く)です。ここまでで、逃げると思った馬が簡単には逃げられない、もしくは逃げていないという事実が分かりました。競馬で「勝ち馬」を当てることが難しいのは言うまでもありませんが、実は「逃げる馬」を当てることも難しいのです。
Aから「逃げ馬」を予想することで、回収率が200%を目指せることが分かりましたが、「勝ち馬」を予想することと予想の難易度に大差がないこともお分かりいただけたと思います。
全てのコーナーを先頭で走っていた馬のみを「逃げた馬」として抽出していますので、Aの「逃げた馬」と@の「勝ち馬」の頭数が異なります。
結論:「逃げそうな馬」≠「逃げた馬」である。
予想するのは「逃げ馬」、「勝ち馬」どちらも難しい。
その上で、勝てる「逃げ馬」を探してみよう!
16.1.3
追記:ハイペースで単騎逃げしそうな馬
Iハイペース単騎逃げを演出できそうな馬一覧
(期間:2014年4月6日〜2016年2月28日、芝1,200m限定)
大凡、この2年間においては、逃げ馬で回収率を上げやすいのは芝1,200m戦です。ハイペースを演出できそうで、なおかつ単騎逃げが出来そうな馬であれば、ご覧のような回収率になります。的中率15%ですから、なかなか魅力的に見えるかもしれません。
しかし、94レース中80レースが外れてしまう馬券を規則的に買い続けることは、メンタルに負荷が掛かります。
逃げ馬を狙うことに限ったことではありませんが、回収率データを参考に収支計算に特化したシミュレーションを行っただけで、メンタルトレーニングを疎かにしてしまう場合が多くあります。
逃げ馬の馬券を買うことは、約90%最後に差されてしまう馬の馬券を狙うことと同義なので、これを馬券術として取り組もうと思われた方は、そのあたりの覚悟を決める必要があります。